オンコタイプDXについて

Oncotype DXにおける再発スコアと既存のバイオマーカーの関連についての後方視的研究

【背景】 Oncotype DXはリアルタイムPCRをベースにした検査法で、ER陽性、HER2陰性タイプの乳癌の予後と化学療法の効果を予測するツールである。今回当科において実臨床として実施された130例について、既存のバイオマーカーとの関連について検討した。

TOKYO2020

【対象と方法】対象は2007年7月から2013年10月までに当院で実施されたOncotype DX症例130例(平均年齢50.4歳)とし、臨床的諸因子(年齢、腫瘍径、リンパ節転移の個数、Ki67、ER、PR)と再発スコア(RS)との関連を検討した。(多変量解析、およびスピアマン検定)

【結果】RS結果の分布は高リスク群(RS≧31)5例、中間リスク群(30≧RS≧18)53例、低リスク群(RS≦17)72例となった。多変量解析では年齢、腫瘍径、リンパ節転移の有無、HGは独立したRSの予測因子ではなく、一方Ki67およびPRは有意なRSの予測因子であった(決定係数R2は0.47)。また図表の如く、分割表検定(スピアマン順位相関係数検定)でもKi67およびPRとRSのカテゴリーには有意な相関が認められたが、HGには認められなかった。HG=3の症例が限られていたことがHGとRSの相関を示せなかった理由として考えられた。

【結語】Oncotype DXの再発スコアは、PR、Ki67と有意に相関するが、年齢、腫瘍径、リンパ節転移の個数、HGとは有意な相関は認めなかった。