ホルモン療法 

乳がんのホルモン療法について

1. はじめに

乳がんは、女性に最も多く見られるがんの一つであり、その治療には手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法などが含まれます。乳がんには、エストロゲンやプロゲステロンといったホルモンによって成長が促されるタイプがあり、このようなホルモン依存性の乳がんに対して、ホルモン療法(内分泌療法)が有効です。本稿では、乳がんのホルモン療法の概要、そのメカニズム、種類、適応、副作用、そして治療後のフォローアップについて詳しく説明します。

2. ホルモン療法とは

ホルモン療法は、がん細胞の増殖を促進するホルモンの作用を抑制し、がんの進行を防ぐ治療法です。特に乳がんでは、エストロゲンやプロゲステロンという女性ホルモンが、がん細胞の成長に大きな役割を果たす場合があります。このホルモン依存性乳がんに対して、ホルモン療法は効果的です。ホルモン療法の目的は、体内のホルモンの生成やその働きを抑えることで、がん細胞の成長を阻止することです。

乳がんのホルモン療法は、がんがホルモン受容体陽性(エストロゲン受容体陽性またはプロゲステロン受容体陽性)である場合に効果的であり、治療計画の中で重要な役割を果たします。ホルモン受容体陽性の乳がんは、全乳がんの約70%を占め、特に閉経後の女性に多く見られます。

3. ホルモン療法のメカニズム

ホルモン療法は、主にエストロゲンの作用を抑えることでがん細胞の増殖を防ぎます。乳がん細胞の多くは、エストロゲンやプロゲステロンといったホルモンを「栄養源」として成長するため、これらのホルモンの受容体を持っています。エストロゲン受容体やプロゲステロン受容体ががん細胞の表面に存在すると、体内で分泌されるホルモンがこれらの受容体に結合し、がん細胞が増殖します。

ホルモン療法は、以下の3つの主要なメカニズムを通じてエストロゲンの働きを阻害します。

  1. エストロゲンの生成抑制: エストロゲンの生成そのものを抑制することで、がん細胞へのエストロゲン供給を減少させます。主に閉経後の女性に対して、アロマターゼ阻害剤が用いられます。
  2. エストロゲン受容体のブロック: 乳がん細胞のエストロゲン受容体に結合して、エストロゲンが受容体に結びつくのを阻止します。これにより、がん細胞の成長が抑えられます。タモキシフェンなどの選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)がこの役割を果たします。
  3. エストロゲンの分泌を阻害: ホルモンの生成や分泌を調整する視床下部や下垂体に作用して、エストロゲンの分泌を抑える薬剤もあります。リュープロレリンなどのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストがこれに該当します。

4. ホルモン療法の種類

ホルモン療法にはいくつかのアプローチがあります。患者の年齢、閉経状態、がんのステージやホルモン受容体の状況などによって、適切な治療が選択されます。主なホルモン療法の種類を以下に示します。

4.1 タモキシフェン(選択的エストロゲン受容体調節薬: SERM)

タモキシフェンは、エストロゲン受容体をブロックすることによって、がん細胞にエストロゲンが作用するのを防ぎます。この薬剤は閉経前および閉経後の女性の両方に対して使用され、特にホルモン受容体陽性の早期乳がんや進行乳がんに対して効果があります。

タモキシフェンは、特定の組織ではエストロゲンの作用を抑える一方で、他の組織ではエストロゲンの作用を模倣する特徴があります。たとえば、骨や子宮ではエストロゲンのように働き、骨密度を保つ一方で、乳腺組織ではエストロゲンの効果を抑えるという独特な作用を持っています。

4.2 アロマターゼ阻害剤

アロマターゼ阻害剤は、主に閉経後の女性に使用される薬剤です。アロマターゼという酵素を抑制することで、体内でアンドロゲンからエストロゲンに変換される過程を阻害し、エストロゲンの生成を減少させます。このタイプの薬には、レトロゾール、アナストロゾール、エキセメスタンなどがあります。

閉経前の女性では卵巣が依然としてエストロゲンを分泌しているため、アロマターゼ阻害剤は効果的ではありませんが、閉経後の女性では体脂肪組織などでアロマターゼがエストロゲンを生成しており、これががんの成長を促進するため、アロマターゼ阻害剤は有効です。

4.3 ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト

GnRHアゴニストは、視床下部からのホルモン分泌を調整し、間接的に卵巣からのエストロゲンの分泌を抑制します。この治療法は、閉経前の女性においてエストロゲンレベルを低下させるために使用されます。代表的な薬剤には、リュープロレリンやゴセレリンがあります。これにより、一時的に閉経状態を誘導し、エストロゲン依存性の乳がんの成長を抑える効果があります。

4.4 フルベストラント(エストロゲン受容体拮抗薬)

フルベストラントは、エストロゲン受容体を完全に破壊することで、エストロゲンの作用を抑える薬剤です。通常は、タモキシフェンやアロマターゼ阻害剤の効果が不十分な場合に使用されます。フルベストラントは、特に閉経後の女性の進行性乳がんに対して使用されます。

5. 適応

ホルモン療法は、乳がんの治療において以下のような状況で適応されます。

  • 早期乳がん: 手術や放射線療法後の補助療法として使用され、再発のリスクを低減します。
  • 進行乳がん: がんが進行している場合でも、ホルモン療法によってがん細胞の増殖を抑制することが期待されます。
  • 予防: 乳がんの家族歴がある高リスク女性に対して、予防的にホルモン療法が行われることもあります。たとえば、タモキシフェンは高リスクの閉経前後の女性に対して予防的に使用されることがあります。

6. 副作用

ホルモン療法は、乳がんの治療において有効ですが、患者によっては副作用が発生することがあります。副作用の種類や程度は、使用する薬剤や患者の体質によって異なります。

6.1 タモキシフェンの副作用

タモキシフェンの主な副作用は以下の通りです。

  • 更年期症状: ほてり、発汗、月経不順など、更年期に似た症状が出現することがあります。
  • 血栓症: 深部静脈血栓症や肺塞栓などのリスクがわずかに増加します。
  • 子宮内膜癌: タモキシフェンは子宮内膜にエストロゲン様作用を持つため、子宮内膜癌のリスクがわずかに増加する可能性があります。

6.2 アロマターゼ阻害剤の副作用

アロマターゼ阻害剤の副作用には以下のものがあります。

  • 骨密度の低下: エストロゲンが骨密度を保つ役割を果たしているため、アロマターゼ阻害剤によるエストロゲンの減少が骨粗鬆症や骨折のリスクを高めます。
  • 関節痛や筋肉痛: 関節や筋肉の痛みが出ることがあります。
  • 脂質代謝の異常: コレステロール値の上昇など、脂質代謝に影響を及ぼすことがあります。

6.3 GnRHアゴニストの副作用

GnRHアゴニストの使用により、一時的に閉経状態が誘導されるため、以下のような副作用が出ることがあります。

  • 更年期症状: ほてり、発汗、骨密度の低下、気分の変動など。
  • 性欲の低下: エストロゲンの低下に伴い、性欲が減少することがあります。

7. 治療後のフォローアップ

ホルモン療法を受けた後も、定期的なフォローアップが重要です。特に、副作用の管理や治療効果のモニタリングが必要となります。

7.1 定期的な検査

ホルモン療法の効果を評価するために、定期的な画像検査や血液検査が行われます。また、骨密度の検査も、骨粗鬆症のリスクを評価するために定期的に実施されることがあります。

7.2 副作用の管理

治療中に発生する副作用は、適切な管理が必要です。たとえば、骨密度が低下した場合、カルシウムやビタミンDの補給、さらには骨を強化する薬剤の使用が検討されます。

7.3 ライフスタイルの調整

ホルモン療法を受ける患者は、健康的なライフスタイルを維持することが推奨されます。特に、バランスの取れた食事や適度な運動が、骨密度の低下を予防するのに役立ちます。

8. 結論

乳がんのホルモン療法は、ホルモン受容体陽性の乳がん患者に対して非常に有効な治療法です。エストロゲンの作用を抑えることで、がんの進行や再発を防ぎます。治療の選択は、患者の年齢や閉経状態、がんのステージによって異なりますが、タモキシフェン、アロマターゼ阻害剤、GnRHアゴニストなどの薬剤が主に使用されます。一方で、治療には副作用も伴うため、定期的なフォローアップと副作用の管理が重要です。乳がん患者にとって、ホルモン療法は長期にわたる治療になることが多いため、患者が治療に対して理解を深め、医療チームと連携して治療を継続することが大切です。

以上、2024年10月作成

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虎の門病院

ホルモン療法はなぜ効くか

女性ホルモンの働きを阻害

乳がんの7割は、ホルモン依存性で、エストロゲンという女性ホルモンの影響で増殖します。
そこで、体内のエストロゲンの量を減らしたり、エストロゲンの働きを阻害して、がんの増殖を止めて萎縮させてしまうのが、ホルモン療法です。
実際には、ホルモン依存性の乳がんには、「ホルモン受容体」という目印があります。女性ホルモンとホルモン受容体は、鍵と鍵穴のような関係にあり、女性ホルモンはこの受容体に結合することで、細胞にさまざまな命令を下し、ホルモンとしての作用を発揮します。
そこで、手術後に摘出したがんの組織を検査して、ホルモン受容体の有無を見ます。ホルモン受容体には、エストロゲン受容体とプロゲステロン受容体という2種類があります。この両者がある場合、あるいはどちらか一方でもある場合には、積極的にホルモン療法が行われます(実際にはエストロゲン受容体が陰性で、プロゲステロン受容体が陽性ということはまれとされています)。これを、エストロゲン受容体陽性、あるいはエストロゲン感受性あり、といったいい方をします。
逆に、どちらのホルモン受容体もなければ、エストロゲン受容体陰性、エストロゲン感受性なし、といいます。受容体がなければ、そのがんは女性ホルモンの影響とは関係なく増大するがんなので、ホルモン療法は効かないと考えます。
ホルモン剤は、抗がん剤のような強い副作用がないのが大きな利点ですが、受容体がない人に投与しても、副作用はあってもがんに対する効果はほとんどないのです。
ホルモン感受性がある人に、術後補助療法としてホルモン療法を行うと、転移や再発がほぼ半分に減ることがわかっています。

ホルモン剤には4種類ある

ホルモン剤には、体内のエストロゲンの量を減らす薬と、エストロゲンの働きを阻止するものがあります。さらに、閉経前と閉経後ではホルモン環境が大きく異なるので、これに合わせてホルモン剤を選択します。

 

抗エストロゲン薬

エストロゲンの働きを阻止する薬です。
エストロゲンは、細胞表面にあるエストロゲン受容体に結合することで、細胞にさまざまな命令を下しています。この受容体に結合して、エストロゲンが結合するのをブロックするのが、抗エストロゲン薬です。それによって、エストロゲンの作用が阻止され、がんの増殖を抑えます。
術後補助療法に使われる代表的なホルモン剤に「タモキシフェン」がありますが、これも抗エストロゲン薬の一つです。タモキシフェンは、20世紀の乳がん治療における最大の発見の一つともいわれ、Ⅰ~Ⅱ期の乳がんでは、術後補助療法にタモキシフエンを使うと、生存率が絶対値で6~10%向上するというデータが出ています。
タモキシフェンは、乳がんの再発率を下げるだけではなく、反対側の乳房にがんが発生する率を2.4%から1.6%に減らす、コレステロールを低下させ心血管系の障害を予防する、骨粗鬆症@こつそしようしよう@を予防する、といった作用もあります。閉経前、閉経後どちらにも効果があります。内服薬で、毎日1回、通常5年間服用します。
ほかに同系統の薬として「トレミフェン」というホルモン剤もあり、こちらは閉経後に使われます。

LH-RHアゴニスト

閉経前の女性に投与して、エストロゲンの量を減らすホルモン剤です。
エストロゲンは卵巣でつくられますが、それまでに脳から次々に指令が送られています。まず、脳の視床下部@ししようかぶ@という部位から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(LH-RH)が分泌されて、下垂体@かすいたい@を刺激します。その刺激で、下垂体からは性腺刺激ホルモンが分泌されて卵巣を刺激。その結果、卵巣からエストロゲンが分泌されるのです。
LH-RHアゴニストは、この最初の段階で作用する薬です。性腺刺激ホルモン放出ホルモンも、下垂体の受容体に結合して、性腺刺激ホルモンを分泌させます。LH-RHアゴニストは、性腺刺激ホルモン放出ホルモンが下垂体の受容体に結合するのを邪魔して、下垂体から卵巣にエストロゲンの分泌命令が出されるのを阻止するのです。
タモキシフェンと併用することもよくあります。通常は2年~5年間使います。その間は生理が止まりますが、投与をやめると、卵巣機能が回復して生理が戻るのも特徴です。この薬は注射薬で、月に1度打つタイプと、3カ月に1度打つタイプがあります。
ゴセレリンやリュープロレリンというホルモン剤がこのタイプです。

アロマターゼ阻害薬

エストロゲンの量を減らすホルモン剤で、閉経後の女性に効果があります。
閉経後は、卵巣でのエストロゲンの分泌は停止しますが、副腎でつくられるアンドロゲンという男性ホルモンが、脂肪細胞などでエストロゲンにつくり変えられます。このとき働くのが、アロマターゼという酵素@こうそ@です。そこで、アロマターゼの働きを阻害して、男性ホルモンからエストロゲンがつくられないようにするのが、アロマターゼ阻害薬です。
アロマターゼ阻害薬には、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾールなどがあります。

プロゲステロン製剤(黄体ホルモン製剤)

間接的にエストロゲンの量を減らしますが、その作用はよくわかっていない部分も多く、ほかのホルモン剤が効かないときに使われます。
(タモキシフェンの再発率低下などのデータ、ホルモン剤の一覧表)

閉経とホルモン療法の進め方

抗がん剤と効果は同等

術後に行われるホルモン療法には、現在3種類のホルモン剤が用いられますが、閉経前か閉経後かによって、選ばれる薬は異なります。閉経とは、60歳以上であるか、45歳以上で過去1年以上生理がない場合、または両側の卵巣を2個とも摘出している場合、と定義されています。子宮摘出を受けている場合は血中のホルモン値を参考にして決めます。E2(エストラジオール)が低値で、FSH(卵胞刺激ホルモン)が高値の場合は閉経と考えます。
タモキシフェンは、閉経前か閉経後かにかかわらず使われますが、LH?RHアゴニストは閉経前、アロマターゼ阻害薬は閉経後に使われるホルモン剤です。

閉経前

LH?RHアゴニストは、1カ月に1回か3カ月に1回、皮下注射で投与します。2~5年間継続するのが一般的です。CMF(シクロホスファミド、メトトレキサート、5-FUの3剤を併用)という組み合わせの抗がん剤を6カ月投与した場合と、2年間LH?RHアゴニストを注射した場合で効果を比較すると、再発を抑える効果は同等です。タモキシフェンと併用すると、AC(アドリアマイシンとシクロフォスファミドの2剤を併用)やCAF(シクロホスファミド、アドリアマイシン、5-FUの3剤を併用)という抗がん剤治療と同等の再発抑制効果があります。抗がん剤よりは副作用が少なく、同じ程度の効果が得られるのが大きな利点です。

より効果が高いホルモン剤へ

閉経後乳がんの術後補助療法は、タモキシフェンがかつては標準治療でしたが、アロマターゼ阻害薬の方が効果が高いことがわかり、こちらが標準治療となっています。

閉経後

アロマターゼ阻害薬には、現在3種類ありますが、どれも効果は同じ程度です。
以前は、閉経後もタモキシフェンによる再発予防効果が最も高いとされていました。ところが、タモキシフェンを5年間服用するより、アロマターゼ阻害薬(アナストロゾール)を5年間服用したほうが再発率が13%低く、副作用も少ないことが報告され、大きな反響を呼びました。
またその後、タモキシフェンを2~3年服用したあとでアロマターゼ阻害薬(エキセメスタン)に切りかえて、計5年間治療をつづけると、5年間タモキシフェンをつづけるより再発率が32%も低下すること、さらにタモキシフェンを5年間服用したあとでアロマターゼ阻害薬(レトロゾール)を5年間つづけると、再発率がさらに40%も低くなるなど、次々にアロマターゼ阻害薬の効果が報告されています。
蓄積されたデータから、現在は閉経後乳がんの術後補助療法にアロマターゼ阻害薬を最初から使うことが標準となっています。

 

ホルモン剤の副作用

半数に更年期障害が

ホルモン療法は、抗がん剤にくらべて副作用が少なく、それでいて高い効果があるのが大きなメリットです。とはいえ、ホルモン療法にもまったく副作用がないわけではありません。

更年期障害

ホルモン療法は、簡単にいえば、エストロゲンの量を下げる治療法です。その結果、ちょうど閉経と似た状態になり、更年期障害のような症状を訴える人が少なくありません。
ホットフラッシュが起きて冬でも汗が吹き出たり、動悸@どうき@や不安、睡眠障害、イライラ、抑うつ症状などを訴える人もいます。ホットフラッシュは、軽いものも含めると、ホルモン療法を行った人の半数以上にあらわれます。
しかし、ここで更年期障害の治療のためにホルモン補充療法をしたのでは、ホルモン療法の意味がなくなってしまいます。ほんとうの更年期と同じで、少しがまんしていれば、体がエストロゲンの低い状態に慣れて楽になってくるはずです。がまんできないほどつらければ、更年期障害に使われる漢方薬を使ったり、うつ状態には抗うつ薬を使うこともあります。
また、アロマターゼ阻害薬はタモキシフェンよりホットフラッシュが出る率が低いので、閉経と判断できれば早めにアロマターゼ阻害薬にかえるのも一つの方法です。

生殖器の症状と子宮体がん

タモキシフェンには、子宮内膜の増殖作用があるため、不正出血が起こることがあります。それ自体はあまり心配ありませんが、タモキシフェンは、子宮体がんのリスクを高めることがわかっています。といっても、800人に1人の割合だった発生率が800人に2~3人に増えるという程度です。その鑑別のために、不正出血がつづくようならば、検査を受けましょう。
一方で、タモキシフェンは、10年間で乳がんの再発を相対的に45%抑えることができます。再発予防効果が副作用のデメリットを超えるからこそ、タモキシフェンが使われるのです。子宮体がんは、不正出血により早期発見が可能です。またタモキシフェンに誘発される子宮体がんは比較的悪性度が低く、早期に見つかれば手術で治る可能性が高いとされています。しかし、乳がんは再発してしまえば、完治は困難です。

骨粗鬆症

アロマターゼ阻害薬やLH?RHアゴニスト製剤は、エストロゲンの量を減らすため、更年期以降と同じように骨量が減少し、骨粗鬆症になりやすくなることがわかっています。反対に、タモキシフェンは骨量を増やして骨をじょうぶにする作用があります。
骨量が低下してきた場合には、骨量を増やす薬を併用します。
アロマターゼ阻害薬で、関節の痛みやこわばりが出ることがありますが、これも時間経過で軽快する場合が多いようです。

その他

このほか、タモキシフェンではまれに下肢@かし@に血栓(血の固まり)ができたり、それが肺に詰まって肺動脈塞栓症を起こすことがあるため、静脈血栓症の既往@きおう@がある人へのタモキシフェンの使用は特に注意が必要です。