術後リハビリテーション

術後リハビリテーション

手術翌日から軽い運動を

 乳がんのリハビリテーションの主な目的は、できるだけ肩や腕を元のように動かせるようになることです。
 乳がん手術で腋窩リンパ節の郭清と伴に胸の筋肉まで切除していた時代には、手術後はどうしても腕や肩の動きが悪くなりました。現在は、センチネルリンパ節生検を行い、リンパ節に転移がなければ郭清をしないので、この場合は腕や肩への影響も少なく、特にリハビリテーションの必要はありません。
 ただし、手術で腋窩リンパ節を郭清した場合には、上肢のリンパ液の流れが悪くなり、リンパ浮腫を起こしやすくなります。また、傷あとがつっぱり、重だるいので、つい腕をかばっていると、肩の可動範囲も狭くなってしまいます。
 とはいえ、手術翌日からがんばって無理に腕を動かすと、かえってリンパ節を切除した部位に体液がたまりやすくなるという意見もありますので、ドレーン(リンパ液や体液を排出するために留置する細い管)が抜けるまでは、軽い運動にとどめたほうがよいでしょう。

手術翌日からドレーンが抜ける頃まで(手術後1週間まで)

 指の曲げ伸ばし運動や、ボールを握る、手首を回すなどの手の運動、ベッドで仰臥@ぎようが@したまま、あるいは椅子にすわって、ひじだけを曲げたり伸ばしたりします。

ドレーンが抜けたら(手術後1週間目ぐらいから)

 腕を真横や上に上げる運動を行います。むずかしければ、手術した側の腕を反対側の手でつかみ、健康な腕のほうへ引っ張る方法もあります。ひじを肩関節の高さまで上げて、肩関節を回します。

手術2週間後から

 壁に対して横向きに立ち、手術した側の腕を壁にはわせるようにして、毎日少しずつ上に上げていきます。あるいは、壁に向かって立ち、まず、手術していない側の腕を伸ばして、指先の位置に印をつけます。次に手術した側の腕を、壁を伝ってすこしずつ上に上げていく。毎日数回くり返して、目印に近づくように腕を高く上げていきます。
 各病院によって、違いはありますが、だいたい上記のようなプログラムを行っています。一例をあげると10回1セットで、1日3セットほど行います。リハビリの方法を記したパンフレットがあれば、それを見ながら練習しましょう。
 こうしたリハビリテーションを継続して行えば、肩の動きも問題なく、リンパ浮腫も少ないという報告があります。リンパ節郭清をしなかった人も、まれにリンパ浮腫が起こることがあるので、なるべく腕や肩を意識して動かすようにしましょう。
(リハビリのイラスト・虎の門のものがあればそれを使う)