乳がん家系は要注意

家族に乳がん患者がいたら要注意

 母親や姉妹など、親族に乳がん患者がいると「がんになりやすい」とされています。
 母親や姉妹に乳がん患者がいた場合、本人が乳がんになるリスクは2倍になるという分析もあります。母親や姉妹が若いときに乳がんになったほうが、よりリスクが高まる傾向があります。母親と姉妹の両方に乳がん患者がいる場合は、一層リスクが高まります。

遺伝性の乳がんもある

 家族の中に何人も乳がんや卵巣がんの患者がいる場合は、「家族性乳がん」の可能性も考えられます。家族性乳がんは、遺伝性のがんです。遺伝的にある種の遺伝子変異を持ち、そのために高率に乳がんを発症するのです。乳がん全体の5%程度が家族性乳がんと考えられています。よく知られているのは、BRCA1とBRCA2という遺伝子の変異です。原因遺伝子が特定できない遺伝性の乳がんもあります。
 このどちらかの遺伝子に変異があると、乳がんや卵巣がんを発症する率が高くなり、親から子供に半分の割合で同じ遺伝子異常が伝わるので、家族の中に乳がんや卵巣がんの患者が多発したりします。
 実際には、この遺伝子を持っていたとしても、必ずがんになるというわけではありません。かつてはユダヤ人の一部(アシュケナージ系ユダヤ人)に多いとされ研究が進みましたが、その後日本人にも決して少なくないことがわかってきました。
 アメリカを中心に欧米では、家族歴のある患者さんや若年患者さんの場合は遺伝子検査(血液検査)を行い、その結果で手術方法を変えることが、実際の医療現場で行われています。また卵巣や乳房に対する予防的手術が、生存率の向上につながるというデータが示されたため、特に関心を集めるようになりました。
欧米の外科医と話をすると手術術式の選択に、遺伝性乳がんの検査結果が前提となっていることに大きな隔たりを感じます。韓国でもこうした取り組みが急速に進んでいます。日本では家族性乳がんへの取り組みがまだ始まったばかりですが、データの集積、カウンセリング体制、さまざまな社会制度の整備など、取り組むべき課題が山積しています。
(ファルコホームページ)